美しい人

白いボートに 手をふって
ほゝえむひとの 美しさ
名前も聞かず 別れたが
湖畔の旅の スナップを
僕は大事に いまもなお

若い同志の 気やすさに
カメラをむけた あの汀(なぎさ)
湖水に咲いた うす紅の
姫石楠(ひめしゃくなげ)の 花のよに
とても可愛い ひとだった

僕の手帳に こっそりと
しまっておこう あのひとを
せつない胸が とゞいたら
どこかできっと 逢えそうな
夢と一緒に いつまでも
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