Plazma

もしもあの改札の前で 立ち止まらず歩いていれば
君の顔も知らずのまま 幸せに生きていただろうか

もしもあの裏門を越えて 外へ抜け出していなければ
仰ぎ見た星の輝きも 靴の汚れに変わっていた

寝転んだリノリウムの上 逆立ちして擦りむいた両手
ここも銀河の果てだと知って 眩暈がした夜明け前

聞こえて 答えて 届いて欲しくて 光って 光って 光って叫んだ
金網を越えて転がり落ちた 刹那 世界が色づいてく

飛び出していけ宇宙の彼方 目の前をぶち抜くプラズマ
ただひたすら見蕩れていた 痣も傷も知らずに
何光年と離れていても 踏み出した体が止まらない
今君の声が遠く聞こえている
光っていく

改メ口の中くぐり抜け 肌を突き刺す粒子
路地裏の夜空に流れ星 酷く逃げ惑う鼠

もしもあの人混みの前で 君の手を離さなければ
もしも不意に出たあの声を きつく飲み込んでいれば
もしもあの改札の前で 立ち止まらず歩いていれば
君はどこにもいやしなくて 僕もここにいなかった

あの日君の放ったボールが額に当たって
倒れる刹那僕は確かに見た
ネイビーの空を走った飛行機雲を
これが愛だと知った

飛び出していけ宇宙の彼方 目の前をぶち抜くプラズマ
ただひたすら見蕩れていた 痛みにすら気づかずに
何光年と離れていても 踏み出した体が止まらない
今君の声が遠く聞こえている
光っていく
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