空腹の怪物

人の悲しみ貪る怪物
無限の生も天涯の孤独
空腹埋めるため傷つける度
カラカラと悲鳴を上げる心臓

涙が誘う その先に君がいた

あまりに君が綺麗に泣くから
空白の心が鼓動を知った
笑った顔が見てみたいだなんて
考えたことなんてなかった

怯えるよう 手を伸ばして
君の頬に触れた

一つ二つと笑顔集める度
大きく鳴り響くのは腹の音
しかしどうして気にならない程に
満たされていく日々と心臓

こけていく体躯がこのまま消えてもいいと思えるほど

あまりに君が綺麗に笑うから
つられて笑い方を思い出してしまった
つい忘れてしまいそうになっちゃうなあ
醜いこの姿のこと

永遠の命も
まやかしの満腹も
何もいらない 君だけでいい
空腹の呪いが蝕んでも

もう痩せ細り歩くこともままならない
泣かないで これでいいさ
それでも君の笑顔を見せてよ

静かに目を閉じた怪物に
悲しみの洪水が降り注いだ
それはこの星を埋め尽くすほどに

あまりに君が綺麗に泣くから
止まった運命に続きが生まれた
カラカラの心も空腹も
溢れるほどに満腹だ

疑うように 手を伸ばして
頬のこけた君に触れた

奇跡と 二人は
夢見るように笑う 笑う
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