秋を急かす100のこと

旅人みたいな大きなトランクに
無難なよそ行きの笑顔を余分に詰めてる

友だちに合わせて頼んだケーキを
半分残す自分の姑息さに胸を痛めてる

きらり きらり
迷い込んだうさぎのように
駆け出していく日暮に追い越されて

神様ひとつ
聞かせてください
みんなを元に戻せますか

遮断機の向こうで健気に待ってた
幼い照れた笑顔に決意が揺らいでる

理屈っぽいせいで可愛くなれない
歓楽街を遠く離れて思い浮かべている

ひらり ひらり
色づいては散る彩り
目を離せば消えてしまいそうだ

ひとつ ひとつ
思い出す昨日のこと
もし間違った世界だったって

選択の連続に
失う可能性も
扉の並んだ長い廊下で手を繋いでる

空いた手に持っている
鍵の使い道を
伝えられないまま

きらり きらり
迷い込んだうさぎのように
扉の前 躊躇って迷っている

子供の頃の
魔法を叶えよう
みんなを元に戻そうよ

あなたは違う世界のうさぎ
日が暮れるよ お家にもうお帰り

ぽつり ぽつり
いま さよならの時
向こうの私とも
仲良くしてね

旅人みたいな大きなトランクに
どこにもいない人の思い出をこっそり詰めている
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