古い靴に染み付いた子守唄

かすかにララバイ
旅立つ者に静かに話す年老いた男
数を数えるような日々を
一途に選んで来た 後悔はない

生まれた町を出て行くのならば
俺の靴を持って行けばいい
少しの手土産だと思って履いておくれ
よく似た足合せて

その足は動く振り子のように何処へも運ぶから
大地を蹴れ叩け 迷いもまた蹄に刻むのさ
夢が大空へ羽ばたいてる カモメが呼んでいる
愛が海を抜けて届くために男は歌っている

その場所で骨を埋めようと決めたのならお前に伝えよう
この場所はいつか声をあげて泣けるためのものさ
その場所と違う生き方さえお前は知るだろう
この場所でいつか声をあげて笑い合いたいのさ

ゆりかごの靴底 揺らしてみては
幼子をあやすように 歌い続ける
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