帰省

ただいまおかえり
何気なく懐かしい
会話
いつも通り
変わらぬ
優しい声

迎えてくれる
ぬくもりの中
想い出の時間
ふと目にとまる
壊れかけの古いピアノ
まだ捨てずに置いてるの?

“あなたが
泣いたり笑ったり
毎日弾いてた
沢山の想い出が
詰まっているから”
と微笑む母
去年より
少し小さくなった姿に
胸が締めつけられる

何度と無いから
ココロから楽しみの
帰省
飾ってある
部屋には
あの賞状

嬉し涙と
コンクールの日
喜ぶ父の目
あゝ懐かしい
柱の傷競いあって
子供達が背(せい)くらべ

“父さんと
夢見ていたよね
可愛いむすめの
晴れやかな成長を
記(しる)して来たから”
とはにかむ母
孫たちと
戯れながら笑う姿に
目尻淡く揺れている

いつもありがとうの
感謝を伝え切れずに
あっという間に帰郷への
時が過ぎる

“希望と
忘れかけてた夢
父との約束
窓越しに手を振って
またすぐに会える”
と言い聞かせて
故郷(ふるさと)の願い
抱きしめて涙滲(にじ)む
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