棉の花

今年十五の 妹が
エンピツ書きの便りをくれた
昨日はじめて蝉が鳴き
裏の畑で棉の花
やっと咲いたといって来た

八尾で一番 別嬪は
やっぱりうちの姉ちゃんやろう
花か草木に譬えたら
無垢で可憐な棉の花
世間知らずがいうのです

難波新地の 紅(あか)い灯に
身を染め 世過ぎして来た私
もとの十九にしてくれりゃ
礼を云います棉の花
所詮叶わぬ夢ですか

所詮叶わぬ夢ですか
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