ささゆり物語

せめてお名前 聞かせてと
五色の浜辺 見初(みそ)めた僧に
恋に溺(おぼ)れた いちずな志津は
諦(あきら)めきれず 流浪(るろう)の旅に
淡路月影 海峡散華
春夏秋冬(しゅんかしゅうとう) 雪風巻(ゆきしまき)
寒さと飢えで 参道(みち)に息絶え
情け村人 とむらい供養
七宝龍寺(しっぽうりゅうじ) 犬鳴不動
渡す引導(いんどう) 鎮魂(ちんこん)散華

形見の一滴(しずく) 岩清水
今日(こんにち)世にも 枯れずに流れ
山に白雲 夕立ちけはい
ひぐらし哭(な)いて 祈りの滝に
志津の涙は 犬鳴散華
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