雪解けに

言わず語らず 微笑みを湛え

さざめくたそがれ
囃子が 灯りが 速雨を憂えても
偶さか交わした瞳は
諦めに濡れることを知らない

ため息の花弁 集めた花筏
見送れば月が照らすから
雪解けに色づきふくらんだ感情
自由へと羽ばたいてゆくの

はらはら はらはら
空に知られずとも 踊るように巡り逢う心
あなたが 新たな 喜びを知り
垂れ下がる 鈍の雲 晴らすまで

祈りは 唯 爰に在るから

さめざめこころね
涙の色ならとうに褪せてしまった
想いは逆しま
紡いだ言の葉は尚更熱を帯びて

摘まみ取る花弁 数えて占えば
花冷えの闇が嗤うから
雪解けが奏でる清らかな音色に
明けてゆく日々を重ねるの

はらはら はらはら
浮き立つ人いきれ 営みに吹き返す心
伸ばした枝葉の先で震える
その夢は手折られることはない
わたしは 只 爰に在るまま
舞い踊れ

たとえ語るに落ちれば楽だとて
言わず語らず 微笑みを湛え
胸に戯える風

はらはら はらはら
たまゆら よもすがら
踊りましょう 巡りゆく瞬間と
はるかな空から咲く陽炎が
ありなしの鈍の雲 晴らすまで

祈りは 唯 爰に在るから
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