Malus

壊れかけの僕から
こぼれ落ちた雫を与えて
枯れかけた枝に実をつけた
名前すら知らぬまま
ただ ただ ただ
輝いて見えた

望むのは一つ

今以上
心を満たせるなら
それだけでいい
その実に口をつけた
あれほど
求めていた空白が
どうして
今はもう味がしない

何もかもが変わり果てた
世界の中歩き続けた

何が僕で
何が僕を呼んでいるのか
(何を求め
何を掴み歌にするのか)
何を描き
何を消しているのか
僕は僕を
わからない存在
存在

(何が僕で
何が僕を呼んでいるのか)
(何を求め
何を掴み歌にするのか)
(何を描き
何を消しているのか)
(僕は僕を)
わからない存在

望むのは一つ

これ以上
心を満たせないから
縋るように
その実に口をつけた
あれほど
追いかけた
悪の華さえも
鮮やかな色が消えた

初めて見上げた
ずっとそこにあった空は
やけに広くて
笑えるほど綺麗だった

いつかは
この実の味でさえも
同じように
消え去ってしまうかな
それでも
今はまだこのままで
夢を見つづけたい

今以上
心を満たせるなら
何度だって
その実に口をつけた
あれほど
求めていた空白が
どうして
今はもう欲しくもない

何もかもが変わり果てた
世界の中歩き続けた
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