晩秋

窓はキレイに 拭いておいたと
白いカーテン 開いてみせた
秋の終わり 得意気なあんた
そんなあんたに 微笑み返すのが
今のあたしの精いっぱい
あかね雲が去(ゆ)く
あんた あんた いなくならないで

まるで昨日(きのう)の 事のようです
あたし背負って 渡ってくれた
秋の終わり あのもみじ橋は
今もあの日と おんなじ景色です
紅いリンゴを丸かじり
笑うあの顔を
あんた あんた もういちど見せて

季節はずれの 時を刻んで
いのちむしばむ 時計がつらい
秋の終わり あんたのからだに
やっと馴染んだ ベージュのジャケットが
壁にしょんぼりしています
寒くなりました
あんた あんた いなくならないで
×