名前のない日々

行かないでよ
名前のないこの日々よ
色褪せたって
ここに居てどうか
しがみつくの
理由のないこの日に
名前を付けたくないわ

なぜかしら
今日は昨日を
薄めてるみたい
年老いた人が
薄味を好む
理由がわかるよ

一瞬で過ぎていく
カゲロウのような人生の
マス目を埋めて行く
句読点はここでいいかい

貴方を探している
旅路で迷っている
今更ここまでの
根拠に縋っている
今際の際にまでも頼れない
上手く言えない
強く在りたい
そんな自分を愛してみる

貴方だけが
この毎日を
差し染めてくれるの
春も夏も秋も冬も
それが続くのならいいのにな

出会うことで
別れは既に始まってる
ハンカチを振り振られ
やがてそれも終わる時が

真っ逆さまに落ちる
一筆で書く人生の
後ろめたい過去を
認められたならいいな

私を探していた
旅路で迷っていた
今更ここまでの
根拠に縋っていた
美しいものにばかり目が眩む
子供のように
嘘をつけない
そんな自分を愛している

行かないでよ
名前のないこの日々が
沸いては消えて
色を増すようだ
愛しき日よ
理由のないこの日に
名前を付けてしまった
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