祇園闇桜

水面(みなも)流れる 花びらは
ゆれて明日を さがすのよ
夢二が描(か)いた 絵のような
うなじが好きと 触れた人
春の一夜(ひとよ)に 情けが咲いて
祇園白川 闇桜

古い都に そむくには
渡りきれない 石畳
薄紅(うすくれない)に 柔肌を
燃やしてみても 通せんぼ
せめて心を 盗んでいって
おんな哀しい 闇桜

いくら化粧を なおしても
すぐに涙が 邪魔をする
十六夜月(いざよいづき)が 消えぬ間に
はらはら舞うの 花吹雪
壊したくない 大事な人を
散るもひそかな 闇桜
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