ブルージェ

古い教会の窓辺に
一羽の鳩が戯れている
くずれた壁のすき間から
こぼれる光が
昔を映す

見知らぬ人のいきかう言葉に
私は愛を忘れた旅人

ブルージェ、ブルージェ
古い都

清らかな 祈りの合唱(うた)が
この石畳に消えていく
町をわたる運河(かわ)の流れに
心をなくした小舟がひとつ

寂しい午後の日射しの中で
私は水面(みなも)に揺れる人形

ブルージェ、ブルージェ
古い都
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