わすれもの

「ほらもう上がった」
得意顔できみが云った
太陽を映した水たまりが光ってた

大人になったって
世間を知ったって
こんな日々が続くと思ってた

のばした手は髪にふれて
明日なんかどうなったっていい
汗だくのままぼくらは
さっきまでずっと
そばにいた気がしたんだ

賑わう師走の
電飾だらけの真ん中で
気のせいみたいな雪が肩で光ってた

虚勢を張ったって
時計は残酷で
いつの間にか降り積もってく

笑った顔で涙ふいて
「明日なんかなくなっちゃえばいい」
離した手の冷たさでさえ
ポケットの中で
またひとつ年を越した

のばした手は風にふれて
明日なんかどうなったっていい
汗だくのままぼくらは
忘れてたもの
本当はずっと持ってたんだ
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