かなりや

唄を忘れた金糸雀は、
後の山に棄てましょか
いえ、いえ、それはなりませぬ

唄を忘れた金糸雀は、
背戸の小薮に埋けましょか
いえ、いえ、それもなりませぬ

唄を忘れた金糸雀は、
柳の鞭でぶちましょか
いえ、いえ、それはかわいそう

唄を忘れた金糸雀は
象牙の船に、銀の櫂
月夜の海に浮べれば
忘れた唄をおもいだす
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