はぐれ笠

風にもつれて 時雨に濡れて
伊那の街道 急ぎ旅
義理の縦糸 人情でほぐし
夢が織れたら 是非もない
男流転の 男流転の はぐれ笠

雲の切れ間を 恥ずかしそうに
のぞく片割れ お月さん
愚痴や未練は 意気地がないと
胸に聞かせる ひとり言
渡り鳥です 渡り鳥です はぐれ笠

生れ在所の木曽路の里は
母の匂いの 山や川
うしろ振り向きゃ カラスが鳴いた
右と左の 札の辻
旅でござんす 旅でござんす はぐれ笠
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