祝辞

拾い上げたナイフを
あなたを裁くためではなくあなたを解くために使えたら
僕は綺麗ですか
もしもあの世があるのならあなたと笑えていますか

鈍く光った切先、延ばした手の先
そんな顔も素敵
なんて嘘つき、あまりにも無邪気
僕を待たず鐘は聴こえる

いちばん大好きだった人がいちばん傍にいられるように
そうじゃないとって僕は想ってしまうよ
いちばん大好きだった人のいちばん嫌いになるから
僕はここにいるよ最期まで想いながら

わかるはずもないでしょう
だって誰より弁えた ただあなたの幸せを願っていた
それさえ罪ですか
もしもあの世があるのなら僕を待つのは報いですか

鈍く光った切先、延ばした手の先
そんなところも素敵
庇った宛先、あまりにも悲劇
僕を待たず鐘は聴こえる

いちばん罪を犯した人がいちばん傍にいられぬように
そうじゃないとって僕は想ってしまうよ
いちばん大好きだった人のいちばん遠くになるなら
僕らここで終わろう来世なんかもういらない

もっとわがままで卑怯になればよかったな
それすら素直と呼んでしまうのだから
ねえ誰か教えて
この気持ちの正解と不正解を
誰でもいいから
答えてくれないか

いちばん大好きだった人がいちばん傍にいられるように
そうじゃないとって僕は想ってしまうよ
こんなに好きになった人のいちばん嫌いになるから
僕はここにいるよ最期まで想いながら

こんなのあんまりじゃないか
けどこの胸がこの指が離してくれない
誰よりも愛したけど誰にもわからないさ
僕はここにいるよ最期まで想いながら
×