孔雀の雨

今 風の向きも
変わり始めた
低い雲の渚
もう 誰もいない
波打ち際を
淋しさ 試して
一人で歩けば
崩れそうな 心の足跡

孔雀の羽根 開くように
美しい雨が
静かに そっと落ちて
孔雀の羽根 開くように
遠くの岬が 滲んで消えた

ただ 濡れるだけで
忘れられると
思ってないけれど
ああ 人は誰も
悲しいことに
出逢うそのたびに
空 見上げながら
晴れる時を 待つしかないのね

孔雀の羽根 たたむように
雨が止(や)む頃に
普通のことが見えて
孔雀の羽根 たたむように
昨日の痛みが 入江になった

孔雀の羽根 開くように
美しい雨が
静かに そっと落ちて
孔雀の羽根 開くように
遠くの岬が 滲んで消えた
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