隅田夜鳩

びんのほつれよ毛繻子の帯よ
濡れりゃ泣きたい女のこゝろ
雨になるやら大川の
紅のあかりもにじみがち

強いようでも下町育ち
二十すぎればもう気が弱い
いつかやつれる襟足に
やなぎ落葉の細いこと

水に流した昨日のゆめと
思いきりましょ隅田の夜鳩
更けりゃことさら浅草の
燃える夜空もうすれがち
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