タローとジローは生きていた

汽船(ふね)は出てゆき 人は去り
雪と氷の南極で
せまるひもじさ 寒さに堪えりゃ
黒い房毛はよごれたが
じっと守った昭和基地
タローとジローは生きていた

橇を引いたな 汗が出た
強い、えらいとこの頭
撫でて貰って尻尾をふれば
故国(くに)を離れた淋しさや
苦労忘れた 氷原
タローとジローは生きていた

氷かじって ペンギンを
追って一年 日の丸の
つばさ見た見た たまらず吠えた
降りてまた来た 人の手を
なめりゃ泣いてたその人も
タローとジローは生きていた
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