春の海 ~令和ヴァージョン~

鍋と茶碗を 揃えただけで
それを所帯と 呼ぶ頃は
何のつらかろ 逆巻く波も
たのしい苦労と 受けとめて
しぶきを浴びる 夫婦岩

波をかき分け 出てゆく舟を
隠れ筏が じゃまをする
目には見えない 命の瀬戸を
心の目をあけ 漕ぎ抜ける
男の夢は 春の海

海に浮いても 波には染まず
空に浮いても 鳥のまま
うたう鴎の のどかさ白さ
この世の理想を うつし絵の
調べにのせる 春の琴
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