かたつむりとダリア

のろまな私の初恋は
草原に咲く鮮やかなダリア
霧雨に濡れて 綺麗 綺麗
いつも日陰から見てた

ゆっくりゆっくり進んでゆけば
いつか隣に並べるかな
恋に焦がれたかたつむり
もうすぐ届くはずなのに

あの子が摘んでしまったダリア
まぶたに残る色の中で泣いた
誰にも言えないうずまきを
背負って今日も私はゆっくりと歩く

おろかな私の初恋は
深海に沈む鈍色(にびいろ)のコイン
人知れず錆びてくずれて
いつかなくなってしまう

ゆっくりゆっくりみがいてゆけば
あの子みたいに輝くかな
恋に破れたわだかまり
とっくに消えたはずなのに

“あなたに言えなかった言葉”
“あの子は楽に言えてしまう言葉”

あの日に死んでしまった恋は
醜く残る傷の中で眠る
誰にも言えないうずまきを
背負って今日も私はひっそりと生きる
×