フィルムの中

「今日もまた留守番のようだ」
この頃はどこにも行けない

二人を繋ぎ続けるのが
僕の役目と思ってたのに

中身の詰まったままずっと
ダンボールの中、過ごすのかな

先週のフォルダを探っても
その気配はどこにも無くて

飛ぶ鳥をどこまでも追いかけてく後ろ姿
水平線見つめる横顔
黒い髪と赤いマフラー

慌てて切り取るから
消し去りたいブレた瞬間の
でも二人は何故か大笑い
楽しそうならまぁ良いか

しばらくはこのままで
遡っていく始まりまで
この記憶と共にあるうちは
どこでも寂しくない

ボロボロで安物の僕に
最期のプレゼント
二人が教えてくれたことは
幸せの意味だった

井の頭公園のベンチで
未来の話をしたね
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