ヒューマンスクランブル

「あんたの作る歌は薄っぺらいんだよ。」
お偉いおじさんの言葉は
都会の冷たさよりもずっとずっと凍える

ギターを担いで 肩落として歩くひとりぼっち 帰り道
電話越し聞こえる母の声だけがあたたかい

大丈夫だよ私もう少し頑張れるよ
だって苦しいことばかりじゃないからさ

帰りたいよ本当は帰りたいけれど
私はまだ 私を諦めたくはない

「なんで私が?私だけがこんな目に遭わんといかんと?」
医者から告げられた聞いたことのない病名

不安と孤独に沈む夜にラジオからふと流れた
この歌はきっとあたしのことを歌っている

夢があるの大きな夢があるの
いつだって心の中思い描いてる

夢があるから私には夢があるから
こんなところで挫けていられない

早く孫の顔が見たいと笑うお父さんを悲しませたくなくて
ずっとずっと言えずにいた秘密があるんだ

本当は、愛し合う人がいるよでもそれを打ち明けたところで
父さんもこの国も僕らの結婚を許してくれない

今日くらいいいだろう?今日くらい泣いたっていいだろう?
どうしようもならないことばかりだからさ

今日くらいいいだろう?今日くらい泣いたっていいだろう?
僕が僕らしく生きてゆくために

天国のあなたを大好きなあなたを思うと寂しくて恋しくて
今でもずっとそばに感じていたくて

未だに「おはよう」「おやすみ」欠かさず 欠かさず
送り続けているもう二度と既読にならないと解っていても

進めないよ前に進めないままでいるよ
こんな私じゃあなたを困らせてしまうから

見守っていてね遠い空から私を見ていてね
たった一人の本当の私を知る人よ

人は歩くよ 答えのない道を右も左もわからずに
迷いながら 転びながら歩いてゆく

激動の時代の淋しさに紛れたあたたかさと優しさ
噛み締めながらそれでも人は生きてゆく

人生という名の交差点にて
すれ違うあなたに
あなたにどうか幸あれ

どうか幸あれ
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