ランナー

始まりの合図が鳴って、空が高く弾ける
そのとき踏み出しかけた足は、まだ少し震えてた

響き渡る声が僕を呼んだ
胸の底が揺れたのがわかった
噛み締めた奥歯でただ堪えた
きっと、それが答えだった

強張る背中に自分で隠した
小さな羽根解きながら

確かな顔した未来の予想が
掴んだ手を振り払って

走る

期待ばかりで眩しかった、幼い頃の自分を
どこかで見失ったままでは、いけない気がしていた

特別な魔法なんてなくって
背を向ける今日を追いかけた
欲しいものはいくらだってあって
でも僕にあるのは僕だけ

息上がる今も止まない思いを
恐れよりも信じながら

耳塞ぐほどに高鳴る鼓動が
望むままにこの命を

走る
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