恋を纏って

歩き慣れた道を君と並んで行く
話題を探す間も無く駅が見える
「ここでいいよ」と君が言う
「いや改札まで、」と僕が言う
できるだけいつも通りでいたくて

俯きながら向き合った僕に
君は手を差し伸べた
恋人の証じゃない
お別れの握手なんだね

触れてしまえば 最後になって
君は誰かに手を引かれて
新しいキスに目を瞑って
どこに行くの? 待ってよ
僕ら恋を纏ってはしゃいで
夢中になって抱きしめた日々を
忘れたわけじゃないだろう
側に居てよ

待ち合わせのコンビニも
角の居酒屋も
特別な日に行こうって言ってたお店も
もう2度と君と行けない 本当なんだね
ごめん、泣いて困らせたくなかったのにな

不満の一言でも 言ってやりたいけど
君から貰ったものがあまりにも多すぎて
誰に何を言われても
恋人になれて良かった
ありがとうしか言えるはずないんだ

触れてしまえば 最後になって
君は誰かに手を引かれて
新しいキスに目を瞑って
どこに行くの? 待ってよ
僕ら恋を纏ってはしゃいで
夢中になって抱きしめた日々を
忘れたわけじゃないだろう
側に居てよ
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