湯本ブルース

生まれる前の ふたりはひとり
そんな気がする あなたの胸に
抱かれて滝の 音を聞く
箱根の夜は ワインのように
甘く冷たく 女を酔わす

湯本と書いた 蛇の目の傘が
忍び痩せした 女をかくす
三枚橋は恋の橋
つらいだろうが たびたびきてと
誘うあなたも 過去あるお方

すてたら死ぬと 女が泣けば
椿に宿る 昨夕の露も
ほろりと落ちる 別れ宿
湯本の駅は 日暮れが華で
朝は女の 涙が匂う
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