遙かなるナンダンの秘宝

探し求めるものは 光る石ではない
不老不死の水ではない 金の髑髏でもない
遥かなるナンダン このジャングルを抜けたなら
あるかもしんない ナンダンだんだん近づいてくる

皮のベルトを蔓にして 崖に足を掛けて
シェルパーが落ちそうだ ズボンにつかまりなさい
速い濁流にもまれ 全身びしょぬれ
ポケットの古文書に 矢印が浮き上がる
密かなるナンダン この滝つぼの奥の奥
あるかもしんない ナンダン禁断の実を摘んだ

それは幼い夏の日に てのひらにありました
洗濯物をすきとおり お話しをしてました
それは次第に薄くなり 遠去ざかっていった
苦いお菓子を食べるほど 静かに消えていった
俄かなるナンダン このやるせない胸の果て
あるかもしんない ナンダン栴檀の葉が揺れる

ライターの明かりが消えた 小さな風のすじ
眼の前に横たわる 荘大な神殿よ
扉を開ければ広がる 新しくなつかしい
寝ては起きては歩きだす いつもの街の景色
煌かなるナンダン この映像のひとコマに
あるかもしんない ナンダン星団が輝いた

自分と同じ顔が 深い山に入り込み
得体の知れない何かを 木の根のそばに埋めた
清かなるナンダン このシンメトリーが解ったら
あるかもしんない ナンダン階段も怖くない

探し求めるものは 光る時間である
死してなおも生き続く 澄い想いの火である
遥かなるナンダン この冒険の終点に
あるかもしんない ナンダンだんだん近づいてくる
×