二人日記

冷たくなった時間や
風に触れた間取りの記憶
足音じゃ聞こえづらい
ふたりとひとりの長い生活

見下ろす世界は正しく
ここにある意味の全部だと思った
呼び止める手の感触
熱を帯びた夜の匂いが

新しく見えてくる
空気を喰んで覚える

たった1人の時間が
巻き戻せないようだ
怖い夢から覚めて
現実にぶつかり合う

どうしよう
わたし
ここにいても
いいのか
わからなくなった
なにが
できる
なにも
しらない
いつまでも
おなじだ

忘れてしまう前に
書き殴ったから
擦り傷ができたって
誰にも言わないのです

新しく見えてくる
空気を喰んで覚える
小さな町の暮らしで
二人の日記をつける
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