峠の鬼

マグマの河を越え 針の峠の向こう
暗い洞窟に棲む若い鬼は
親の記憶はなく ずっと一人だった
ツノが生える頃に芽生えた思い

なぜここには誰もいない このまま孤独なのか
不安になる 月に聞くも教えてくれなかった

山を下りれば何かが分かる
本能がそう告げてる
決してならぬと言われても
鬼夜月に照らされた獣道 駆け下りて行く

山を抜けたとこでみすぼらしい犬が
食い物を求めて鬼にすがった
復讐をするなら家来になりましょう
鬼はついに全て知ってしまった

家来になどならなくていい たかが食い物などで
そんなことより教えてほしい 人という生き物を

あれは人里 暗雲が垂れ込む 不気味な砦 閉ざした
恐る恐ると覗いたら 飛び交うのは血飛沫
金銀財宝 取り合う戦が連綿として続く修羅の世
若い鬼はもう引いちゃって
こんなとこには関わらぬが身のため 鬼も退散
あゝとっとと山に帰ろう
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