宵化粧

宇治の流れに 迷いを託し
浮橋渡る 影ふたつ
少しだけ 少しだけ
運命の糸を たぐります
十六夜の 束ねた髪に
ああ 宵化粧

夢の名残りを 振り切るように
あなたの足音 遠ざかる
乱れても 乱れても
祗園の夜は みじかくて
萩時雨 ひと彩濡らし
ああ 宵化粧

三味線の途切れに 耳澄ましては
障子に面影 追いかける
好きだから 好きだから
ひとりの夜は 淋しくて
風音に 暮れ行く秋の
ああ 宵化粧
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