黒船哀歌

赤い椿の 花かんざしは
下田芸者の 心中立て
せめても一度 鶴松さんの
膝で泣きたや さめざめと
ああ 恋の涙が 涸れるまで

沖の黒船 三本マスト
はぐれ千鳥が 啼いて飛ぶ
二世を契った 二人の夢も
所詮果敢ない 明烏
ああ これが浮世の 運命やら

駕籠が行く行く お吉を乗せて
下田港は おぼろ月
青いランプの 窓辺にもたれ
すすり泣いてる影法師
ああ 花が散る散る 玉泉寺
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