南十字星

飯粒で閉じた 手紙の束も
網棚を吹っ飛んだ
大波が 甲板なぐる
南十字星
船の男は やすやすと
死ぬ覚悟 できるもんだぜ

抱きたいと書いた 手紙ばかりだ
くり返し 読んでくれ
二百日 はえ縄を張る
南十字星
俺とお前の 想い火が
あの星と 漁火になる

スナップ写真 手紙に入れて
円窓を見上げれば
外国の 港が見える
南十字星
飲めばじんわり 男泣き
故里(くに)遥か 遠州灘よ
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