しんきろう

夢は遠すぎて 語れないまま
足の先で止まった 波のように

ここで 息をする ここで 手をのばす
だれのせいでもないと 言いきかせた

それでも 迷いは 消えない しんきろう
水しぶきにも とまどった

水平線から 船が戻ってくる
小さな 幸せに いそいでいる

人が暮らすには 夕日は長すぎて
よけいなことまで さみしくなる

海を広げて 船はまた出てゆく
帰らぬ人たちを 見送って

今日を閉じて 明日を開く
ただそれだけに 風が乗る

どこにゆくのかと 尋ねた人は
電灯をつらつらと 家路をゆく

どこで暮らそうと
どこで果てようと
×