みちのく風の宿

風がガラス戸 揺するたび
心細げに 俺を見る
おまえひとりにゃ
おまえひとりにゃ しないよと
別れ話を 飲みこんで
抱けば折れそな 風の宿

ながい苦労の くせなのか
いつもおまえは 海老折り寝
薄い布団に
薄い布団に くるまって
だれが泣かせる 夢にまで
頬にとまった 夜の露

躰ひとつで 出直して
俺とゆこうか まよい道
なにもおまえにゃ
なにもおまえにゃ やれないが
せめてあげたい こぼれ陽を
旅のみちのく 風の宿
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