港町

鳴いて飛び交う カモメより
ぐちも云えない 身がつらい
憎さ三分に 愛しさ六分
あとの一分で 出る涙
未練木枯しひとり酒 港町

波にただよう 浮き灯り
凍(こお)りつきそな 夜更け頃
すがりつきたい すがれば切れる
うしろ髪ひく ことばかり
なぜに二人を引き離す 港町

隣合わせに 飲む人が
なぜかあなたに みえてくる
酒の辛さに 情の甘さ
女ごころの ほろ苦さ
霧笛海鳴りすきま風 港町
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