入道雲

透かした空の色に 君からもらった手紙を
翳した手を離せば 羽根を生やして
飛んでいきそうな気がした

眩しさに目を細めた

あの頃君の遠ざかる背中 見送る度にいつも
風が胸をすり抜けた
あの時もっとその手をギュッと 握り締めていたら
僕らの夏はまだ続いていたの?

描いた青写真を 僕はずっと捨てられずに
隠した君の想い あの時すでに
小さく見え隠れしていた

切なさに目をそらした

夏がこぼしたカケラにそっと 耳を当ててみたら
懐かしい潮風の匂いがした

あたたかな通り雨が

心へそっとやさしく手を伝い 砂に沁み込んでく
波のように繰り返した
あの時もっとその手をギュッと 握り締めたとしても
僕らの夏はまた更けていったの?
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