赤触

母は今も 我が子の帰り
ずっと ここで 待ち続けている
数えきれぬ時代の涙を 流し祈っていた
あの罪もない弱き人びと 苦痛を握りしめた
朱に染められた 大地の脈は
途切れ千切れ やがて消えゆく
儚い争いが 生みだす悲しみは
この風にのせられ 母の胸をつらぬいた

旅立つ姿 目に焼きついて
離れない 今もまだ 敢えなく散った
尊い命 永遠に夜空の星になった
幾多の憎しみが 渦巻く争いは
幸せを造るか 苦しみを生みだすのか
儚い争いが 生みだす悲しみは
この風にのせられ 舞い上がる

目を閉じるのも 怖くて夜も眠れない
我が子を想う母の祈りは 届かないまま
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