長谷川伸原作「関の弥太っぺ」より 弥太っぺ情け宿

渡世 柵 一寸先は 闇が七分の旅鴉
残る三分は 一天地六関の弥太っぺ
黄昏どきは
どこか寒そな どこか寒そな…
三度笠
なんの 恨みもない人を
斬れば草鞋の紐が泣く
「ご免なすって…手前、関の弥太郎と申します
おかみさん、しばらくの間 この子を預かって
貰う訳にはいきませんか
なぁに、すぐに迎えに参りやす
よろしゅう、お頼の申します」

縞の合羽を四つにたたみ
枕がわりの花筵
夢と涙はきっちり捨てた
関の弥太っぺ 気がかりひとつ
人情あずけた 人情あずけた…
吉野宿
「ほら、紅い梅に白い梅
いい香りだぜ…
春が来れば花が咲く
お小夜ちゃん、…俺のことを恩人だと
思っているらしいが、
俺らぁ、 おめえのお父っつあんを
手に掛けた男だ
俺のことは忘れて、可愛いお嫁さんになって、
倖せに暮らすんだぜ…」

恩は売らねえ 貰いもしねえ
野暮な啖呵が置き土産
筋目区別の始末はつけた
関の弥太っぺ
真っ平御免
甲州街道 甲州街道…
どこへ飛ぶ
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