彼女の夏

押し寄せくる夏の気配
夕立の匂いにあなた想えば
眠らせたはずの愛しさが
さざ波のようにそっと蘇える

朝顔の浴衣 下駄の音
はぐれないように大きな背中追いかけ
来年もあなたと夏祭り
行こうと決めたあの夏の日

「じゃあ またね」あの日も
いつも通りさよならしたのに
祭りのあとの静けさの夜に
あなたは突然灯り消した
優しい言葉も声も唇も
私の中に残したまま

あの日と同じ 夏祭り
結えるほどにこの髪も伸びたけれど
まだ他の誰かに抱かれても
あなたの影探してしまう

涙の中にある哀しみの粒さえ
瞼を閉じれば見えるくらい
ただ会いたくて

永遠に変わらず続いていくものはない
そう思うようにしてる
この世界だって小さなきっかけで
なくなってしまいそうだから

朝顔の浴衣 下駄の音
結えるほど伸びた髪短く切って
今は他の誰かに抱かれてる
あなたの影想い出にかえて
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