三日月だけ

聞こえる? あなたを呼ぶ声
張り付く喉 鳴らして
聞こえる? あたしの歌声
微熱に酔う旋律

翳る夜の闇音
軋んだ躯を蝕んでいく
過ぎし時の残像
腕をのばしても 虚しき夢

堕ちてゆく 深く深く
光など要らないのよ
終夜 あなたを待つ
今宵の慟哭を知るは
錆び付いてく三日月だけ

聞こえる… あたしを呼ぶ声
あまねく鐘の如く
聞こえる… 塞いだはずなのに
一際 甘く響く

噎せる霧の溜息
長らう孤独を紡ぎ出せば
いつか消えるだろうか
鮮明なままの あなたの色

一人きり 一頻りの
傷みなど要らないのよ
永久の風 刹那の花
彷徨う言霊を知るは
錆び付いてく三日月だけ

翳る夜の闇音
軋んだ躯を蝕んでいく
過ぎし時の残像
腕をのばしても 虚しき夢

巡り来る夜明けの陽が
あなたを連れ去ったしまう
過ちと知るも否も
溺れる幻を知るは
錆び付いてく三日月だけ
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