あのバスに

あのバスに乗らなけりゃならないと急いでいた
立ちふさがる雨傘 押しのけてとび乗った

選ぶほどたくさんのバスがあるわけじゃないから
目の前に来たバスに乗ることだけ考えた
精一杯に急いだと 肩で息を継ぎながら
押しのけたあの傘の中に自分がいた気がした
あのバスに乗らなけりゃならないと急いでた

あのバスの行く先を見もせずに急いでいた
見飽きた枝の下を 駆け抜けてとび乗った

後ろが見えなくなる角を曲がってしまったなら
何もかも風景が新しくなるはずだった
ミラーの中 遠ざかる古い樹は切り倒され
角を曲がり見たものは 数えきれない曲がり角だった
あのバスの行く先を見もせずに急いでた

精一杯に急いだと 肩で息を継ぎながら
押しのけたあの傘の中に自分がいた気がした
あのバスに乗らなけりゃならないと急いでた
あのバスに乗らなけりゃならないと急いでた
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