インコ

晴れた日 今日もこの街は 穏やかに笑ってたはずだった
僕は朝食のミルクと パンを買いに外へ出た
靴がまき上げる砂ぼこりと 共にそれはやってきたよ
僕を見たみんなの顔が 凍りつくのに時間はいらない

「なかなか演技がうまいな。悪い冗談はやめてくれ。」

僕の笑い声はナイフみたいな 悲鳴にかき消された
何か悪い夢を見ている つねった頬の痛みは本物

昨日まであんなに僕を必要としてくれてたのに

黒い雲が空じゅうを覆い全てを溶かす雨を降らせていた
転んだ友に手を差し伸べれば 身を震わせてまだ死にたくないと
逃げていった

誰もいなくなった街で 悲しみの波に浮かんでいる
こびりついた友の顔が 涙をにじませたよ

僕が何をしたって言うんだ あぁ神様どうして?

そして足下の水たまりで ついに僕は見て見てしまった
真っ黒な炎に包まれ不気味に白く光る目をした怪物だった

疲れ果てて落ちた夢の中
その場しのぎの言葉で誰かを救ってると思ってる
人の優しさを平気で裏切り 他人をうらやみ見てみないフリをして
自分を繕うためのウソ 敵にならないための悪口
すべて、すべて、すべて、すべて見てしまった

そして僕の醜い炎は 木々や花や街たちを消してった
どうか僕を消してください 愛する街をこれ以上壊したくない
泣き叫んだ

晴れた日 今日もこの街は 穏やかに笑ってたはずだった
僕は朝食のミルクと パンを買いに外へ出たんだ
汗と太陽と疲れた体 僕を見るみんなの顔
その全てを力いっぱい抱きしめて静かに泣いた
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