「序曲」夢のちまた

世を上げて 春の景色を語るとき
暗き自部屋の机上にて
暗くなるまで過ごし行き
ただ漫然と思いいく春もある

いい季節だ どこへ行こう
不忍池など楽しかろう
雨になれば水が増して
さぞ 水鳥もおどろくだろう

忘れるだろう 忘れるだろう
今日一日のできごとなど
何をなしても 忘れ行くのみで
忘れ行くさ 夢のちまたへ

明日は晴れか 雨になるだろうか
明日こそは町へくりだそうか
明日になればわかるだろう
明日もたぶん生きてるだろう

春の一日が通り過ぎていく
ああ 今日も夢か幻か
ああ 夢のちまた
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