哀愁本線

最終列車の 青森発は
なぜか別れる ひとばかり
窓ごしに 手を合わせ
わたしもあなたも 泣いていた
仕方ないのね これが運命(さだめ)ね
ふたりはひとりで 生きてゆく
恋をひき裂く 哀愁本線
小雨にけむる…

あなたの温もり りんごがひとつ
これがわたしの 旅路(みち)づれよ
眠れずに 揺れながら
線路の軋(きし)みに 身をまかす
文字をひろって 書いたメールを
なみだで汚して また閉じる
うしろ髪ひく 哀愁本線
あかりが滲(にじ)む…

一(ひ)と冬暮らした 海峡の町
霧笛背にして 帰ります
このいのち 半分を
あげるとあなたは 言ったけど
膝がさびしい 寒くせつない
面影だきしめ 東京へ
急がないでよ 哀愁本線
さよならあなた…
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