みだれ髪

髪のみだれに 手をやれば
紅い蹴出(けだ)しが 風に舞う
憎や 恋しや 塩屋の岬
投げて届かぬ 想いの糸が
胸にからんで 涙をしぼる

すてたお方の しあわせを
祈る女の 性(さが)かなし
辛(つら)や 重(おも)たや わが恋ながら
沖の瀬をゆく 底曳(そこび)き網の
舟にのせたい この片情(かたなさ)け

春は二重(ふたえ)に 巻いた帯
三重(みえ)に巻いても 余る秋
暗(くら)や 涯(は)てなや 塩屋の岬
見えぬ心を 照らしておくれ
ひとりぼっちに しないでおくれ
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