夕焼け波止場

夕映えのカーテンが防波堤におりてきて
波は血を流してるし ぼくはそれを
眺めてるだけ
むきだしの寂寥が岸壁に打ち寄せて
潮風の研ぎ澄ました鋭い爪 胸にくいこむ

そんなにいきがるなよ
あの娘の胸が待ってる
夕凪ぎ前に帰ってあげなよ

街路には淋しさの船団が碇泊し
それを縫う季節風に ぼくはいつも
酔いしれるだけ
夕闇は葡萄色 沈む陽に照らされて
ひらひらと紋白蝶が波の上を渡ってゆくよ

そんなにいきがるなよ
あの娘の胸が待ってる
夕凪ぎ前に帰ってあげなよ
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