海猫の啼く波止場

崩(くず)れた岸壁 洗う波
さびれた波止場(はとば)にゃ 海猫ばかり
おまえを知った あの夜から
俺の恋人は 海じゃなくなった
それに気づいたは
出船の汽笛が
出船の汽笛が 鳴ったあと

夕陽(ゆうひ)にしょんぼり 浮ぶブイ
人待ち顔なは 海猫ばかり
南で遭(あ)った ハリケーンも
俺の思いほど 荒れはしなかった
ひとり眠られず
甲板(デッキ)で呼んだよ
甲板で呼んだよ 恋しさに

せつない痛手(いたで)に しみる風
いっしょに泣くのは 海猫ばかり
おまえはどこへ 行ったのか
俺のともしびは 消えてしまってた
胸に書きとめた
航海日記も
航海日記も 聞かないで
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