初恋に捧ぐ歌

さびついた歩道橋は 夏が終わるにおいがした
シャツを夜風が吹きぬける
きみからのメールはもうあれからとぎれてる
ぼくはからっぽの空見あげ 目を閉じた

絶対に忘れないって あのとき思ったこと
いまならいくつくらい 思いだせるだろう

追いかけても 追いかけても
きみはもう どこにもいない
なくしたくない思い出も いつか忘れてしまうのかな
笑い合って 泣き疲れて
そのどれもが嘘じゃないはず
“きみと出会えてよかった”
それだけが 小さく心に響いた

難しい言葉は何ひとつ必要なくて
素直になれた いつだって
でも時を重ねるほど 試したり 疑ったりして
素直すぎる言葉で きみを傷つけた

絶対にはなさないって この手で誓ったのに
守れないものもあると はじめて知ったんだ

問いかけても 問いかけても
その声はもう聞こえてこない
ありふれたせりふでも きみが言えば特別だった
積み重ねた お互いの傷
涙で流してしまいたくない
そう今恐いのは
きみがいない明日に“慣れてしまう”こと

いつかくれた きみの手紙
ぼくはそっと読み返してみた
見慣れた文字 たどる言葉 あふれてくる記憶 そして…

追いかけても 追いかけても
きみはもう どこにもいない
なくしたくない思い出は できるだけ深く焼きつけるよ
空を見上げ 風に押され
もう恐れずに歩いてこう
“きみと出会えてよかった”
それだけが 小さく心に響いた
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